「ROEの呪い」の解消法

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「ROEの呪い」というタイトルのリポートが話題を呼んでいる。岡三証券の栗田昌孝氏が、過去20年間の東証1部企業のROEを分析して、ある1つの傾向を見いだしたそうで、2014年7月4日付け日本経済新聞にも、スクランブルというコラムで紹介された。

 

 

高ROE企業のROEは期間を経るごとに下がりやすく、逆に低ROE企業のROEは上がっていくという現象だ。つまり、企業のROEは平均値へと回帰していくという。

 

 

日本だけではなく、米国でも1982年にニューヨーク大のオールソン教授が米企業で同じ現象を指摘している。

 

 

もうかる事業には新規参入が増えて利益率が下がり、逆にもうからない事業は他社が退出して残存者の利益率が上がっていく。こうした企業間の競争原理が、ROEの平均回帰性が生じる原因という。

 

 

この事象を、アナリスト視点ではなく、CFO視点で考えてみたい。

 

 

外部に開示される連結財務諸表を通して、企業を分析する指標としてROEは非常に有用であることは、そのとおりである。

 

 

しかし、同一企業グループ内で、大きな利益をあげている販売部門や立ち上がり段階の新興地域での生産拠点等、様々な状況の子会社が存在しているはずである。

それらを一律に、外部開示する指標としてのROEで管理することには無理がある。

 

 

言い換えると、ROEは結果指標であり、企業が月次、四半期等でグループ各社の業績をモニタリングしていくには、ROEという結果が改善されるために、構造化された主従関係にある指標の設定が必要である。

 

 

このようなPDCAサイクルを継続的に実施改善していくならば、必ずしも高ROE企業のROEが低下するという、自動的に収斂されていくような結果にはならない。

 

 

CFOが、自社の事業特性を十分に理解し、どのような経営管理活動が最も適しているかを考え、全社に浸透させ、実践していくことが求められている。

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