予算管理のPDCAにおける「C」の再確認
PDCAという言葉は、ビジネスシーンでは、よく使われていますよね。
何かに取り組むときに、計画を立て(Plan)、実行し(Do)、計画通りに進んでいるか確認し(Check)、改善が必要なら行動を起こす(Act)。
また、この繰り返しをすることを、PDCAサイクルを回すともいわれます。
一定の期間をかけて進める取り組みを、確認するポイントをあらかじめ決めておいて、そこでの進捗状況や、方向が間違っていないかを確認しながら、大きな手戻りが必要ないことを判断して、次のステップに進むということを繰り返すというアプローチをとります。
このPDCAって概念は、経営品質の優良企業を表彰するデミング賞という制度がありますが、この由来となったデミング博士が提唱されたそうです。
デミング博士は、経営学ではなく、統計学の専門家だったそうで、工場での品質改善や新製品開発を試行錯誤しながら、少しずつ改善したり、研究開発を進めたりする際に、いろんな行動を集計、分析して、仮説を立てて計画し、実行した結果をチェックして仮説が正しかったのかどうか?、仮説は正しいけど実行方法が違ったのかと仮説検証を繰り返しながら、設定したゴールに、少しずつ、事実を積み重ねながら近づいていくアプローチを現した言葉のようです。
さて、企業経営において予算管理を行う際にも、PDCAサイクルを回していくことで業績を向上させていくという使い方がなされます。
顧客や市場のニーズ、競合他社の行動、自社の営業活動や、マーケティング、製品品質の向上等を考慮して、予算や事業計画が作成されます。
その予算と経過期間の実績とを比較することがPDCAの「C」と位置付けられています。
考え方は、その通りだと思います。
でも、本当に予算管理において、チェックという重要な行動がなされているでしょうか?
たとえば、売上を例にして考えてみたいと思います。
売上予算と売上実績を、それぞれ金額のみで比較して、ノルマのように考えられている予算と実績を比較して、予算を達成したら、「よく頑張った!」と褒められ、未達だと「申し訳ありません」と謝る。
このようなチェックの仕方で、本当に予算という経営計画実現に向けた改善アクションにつながるのでしょうか?
売上計画を立てる際には、提供する商品を、どの地域の、どの顧客に、どの営業マンが、価格をいくらで、数量を何個売るのか?
その顧客は、既存顧客であれば、受注頻度はどの程度か、新規顧客であれば、どのような活動をいくら位の経費をかけて獲得するのかと、話し言葉で語れるくらいのストーリーをベースに積み上げていって、売上予算(目標)をたてるのではないでしょうか?
それを実現するには、顧客に商品を認識してもらうために、いくら広告宣伝費をかけるとか、この地域には営業マンを新たに採用しなければいけないとか、費用面も相互関連させて計画するはずです。
だとすると、積み上げた結果の売上予算と、実績を単に金額だけで比較しても、計画が現実的でなかったのか、営業マンが実力不足だったのか、品質が悪くて値引きをしないと売れずに販売単価が下がったのかがわからないと、営業マンの実力のみとして、責任を負わせたところで、問題は解決しません。
これは、単なる数値比較のC(Compare、比較する)にとどまっているのではないかと思います。
予算管理のPDCA、せっかく実施するなら、Compareではなく、Checkして、業績向上に向けた、前向きな仮説検証行動につながるようにできれば、素晴らしいなあと思っています。
これから、このような観点で、予算管理作業で当たり前になっているような、予算管理あるあるについて、このコラムでご紹介していく予定ですので、ご期待ください。