1億円のクッション

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9か月後の課税所得を、1%の誤差の範囲で予測しろ

過去に法人税で配当軽減税率という、利益配当をすると法人税の低い税率が適用されて納税額が少なくなるという税制があり、それの適用廃止が決まった時期がありました。

当時、日英の親会社2社が合計で100%株式を保有しており、配当は親会社に対するもので、グループ外に資金流出するものではないですが、法人税は国庫に行くので、グループ外に資金流出するので、できるだけ配当を払おうということになりました。

 

当時、課税所得が年間約100億円。でも、利益から法人税を申告する際の税務調整を加減算した結果が課税所得です。利益を予測するのも難しいのに、課税所得を出して、法人税を支払ったあとの税引き後利益(配当可能利益のベース)を、当時のCFOから1億円クッションをやるから、適切に予測をしろ!と。

 

え~っ!

 

これを言われたのが、8月決算の3か月後の株主総会が終わった12月初旬。9か月後の課税所得、税引き後利益を、100億のたった1%のみの1億円の誤差の範囲で、予測をしろなんて、無茶苦茶な話です。一回の当てもののようなギャンブルではなく、毎月、最新情報で更新はしましたが、それにしても、営業利益でさえ、予測が難しいのに。。。

営業やマーケティング部門が提供している売上予測は信用しない

予測のデータをもらうにはもらうが、実際に、季節変動要因、大口顧客の動向や、新規顧客等をにらみながら、自分で調整。コストは、製薬メーカー特有のマーケティング費用や、交際費、期間経過で比例的に発生するもの以外は、直接聞き取り。工場、倉庫には、長期滞留在庫等の評価損や差損が出そうなものを、定期的にヒアリング。

 

なんとか、1億円とはいえなかったけれども、ある程度の配当を払う準備、親会社への事前報告で問題ない程度に予測を実現できました。利益なんて、決算を締めてみないとわからないと多くの経理部門の方がおっしゃいますが、変動要素を見極め、やり方を考慮すれば、やってやれないことはないと実感できた1年でした。

 

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