経営目標・中長期計画を狙って達成する
管理会計のフォーマット

企業によって、財務・会計情報を管理しているフォーマットはさまざまかと思います。このブログを読んでいらっしゃる多くの方は、Excelや会計ソフトを使用して独自の管理方法を実践していることでしょう。しかし、そのフォーマットは本当に経営の「意思決定」に最適な”理想形”になっているでしょうか?

本記事では、長年数々の企業の財務コンサルティングを行ってきた弊社が磨き上げた、「管理会計を強くするフォーマット」をご紹介します。

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その経営計画・中長期計画は達成できる?未熟な管理会計

日本企業の特徴として、経営計画や中長期計画を策定しているものの達成できていない・・・・というケースは少なくないかと思います。このような場合の多くは管理会計が充分でない(未熟)であることが多いです。

 

経営計画・中長期計画の策定にあたって重要なことは、経営戦略を明確に定義し、長期的観点から達成すべき目標を設定することです。そしてその目標を達成するために、全社における指標、各部門における指標を決定します。

 

管理会計が未熟な状態でこれらを設定すると、目標と各部門における指標がリンクしておらず、現状の把握を十分できないため、計画を達成させることができないという状況になってしまいます。

 

管理会計の「よくある失敗」

経営計画や中長期計画は達成できているという場合でも、不充分なケースは少なくありません。

管理会計が未熟な場合、例えば以下のような失敗や課題が起こります。

 

  • 提出されるレポートが議論のための材料ではなく、単なる報告用となっており、意思決定や改善アクションの議論ができない
  • 経営層に提出されるレポートの粒度が適切でない(詳細すぎるまたは、簡略化されすぎている等)
  • 会議において、提出されるレポートの粗探しに時間が割かれ、議論がスムーズに行えない
  • 経理や財務部門がレポート作成に忙殺されている。また、それにより、レポートの提出が遅く、タイムリーに意思決定や改善アクションを行うことができない
  • KPI体系が複雑化されすぎており、実態として活用されていない

 

上記の失敗に1つでも心当たりがある場合は、知識としての管理会計を脱却し、管理会計を実践的に活用していくことが重要となります。

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  • 押さえておきたい管理会計の考え方

先述したような失敗をしないためには、管理会計を実践的に活用する必要があります。そのためには経営意思である経営計画や中長期計画を各部門に合わせて指標化・体系化することが重要です。(下図を参照)

 

各部門の指標や目標を決める際は、全社レベルで掲げる目標からブレークダウンして落とし込んだ部門単位の目標を定めることはもちろん、部門毎にある程度コントロール可能な内容とすることで、目標に対する現場の納得感を醸成できます。

 

押さえておきたい管理会計の考え方

 

またこのように指標や目標を定めると、経営意思を反映した目標設計がおこなえるほか、現場がある程度コントロール可能な指標であることで従業員のモチベーションの向上にも繋がるというメリットがあります。

  • 管理会計を実践で活用するためのフォーマット例

こうした管理会計の考え方を実現するためのツールとして、この記事では皆さまに「管理会計のフォーマット」をお届けしたいと思います。これは、管理会計を活用するための基本的な考え方を理解したうえで、実際に活用すると、会社の状況を把握したり次のアクションを意思決定するために大変役立つものです。(下図を参照)

 

管理会計を実践で活用するためのフォーマット例

 

具体的な項目としては、勘定科目、予実、前年同月比、当年前月比、当期累計などの情報がまとまっています。また、このフォーマットを使用して見るべきポイントとしては、単純な増減だけではなく異常値(閾値を超えている)に目を向けることです。そのうえで、なぜ異常値になっているのかを事業部や組織別などにブレークダウンして分析していくことが重要です。

より高度な/難易度の高い課題にも対応できるように

ここまでにご紹介してきた取り組みを習慣化することで、組織内の数字や問題を経営チームが充分に把握できるようになるほか、従来よりも見渡せる範囲が広がるためより高度で難易度の高い課題も見えてくるようになります。その意味で、管理会計を強化することは経営管理・財務管理を高度化するための第1歩だということができ、経営計画や中長期計画の目標達成に大きく前進することができるのです。

管理会計を見直して、経営管理レベルを高度化しよう

本記事で紹介したような管理会計を実践するためには、煩雑な集計・入力業務を人力行うのではなく、ITを活用して効率的に行わなければなりません。

表計算ソフトなどを用いて無理やりに実践することも不可能ではありませんが、計算式や手入力のミスなどによって数値が誤ってしまうリスクも考えられますし、多軸での分析の場合、ファイルやシートを横断することになるため管理が煩雑となる可能性もあります。

 

上記のようなことが起こると、レポートの内容が充分に正しいかを何度もチェックするという検証時間が多くかかるようになるほか、タイムリーに改善アクションを立案・実施することができません。そこでITを活用して集計業務を効率化することで、従業員が分析・改善の業務に注力できる環境基盤を構築できます。

 

本書で紹介した内容についてより詳しく知りたいという方は、以下WPも、ぜひご覧ください。

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