業績悪化に伴う業績の下方修正は、絶好の業容把握、反転攻勢のチャンス!

世の中の経済が不安定で自身の業績も悪化している、現状を維持することも難しくなってきています。
しかし、今だからこそ業績を飛躍させる絶好のチャンスです!コスト削減、業務の仕組み化に触れながら解説します。

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不況下こそ、業績の飛躍を実現する準備を

2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、経済活動が大幅に制約され、多くの企業の業績が悪化しています。

 

このような状況だからこそ、企業のマネジメント層やCFOは、「新型コロナ明け」に向けて果断に戦略を練り直し、この耐え忍んだ期間に競争力の強化を図り、ニューノーマルとも呼ばれる時代において業績の飛躍を実現する準備を行うべきだと思います。

 

このような不況の時期に、業績の下方修正や、「Plan B」とも呼ばれる当初予算を見直し、目標を下げることで、実態に合わせた予算管理、経営管理を実施するための変更を行うことがあるかと思います。

 

実は、この下方修正やコストダウンを伴う事業計画の見直しは、企業の競争力を高める絶好のチャンスだといえます。

売上はどこまで下がるのか、言い換えると「どこまでなら売れるのか」ということを、細かくファクト(事実)に基づいて見直ししていくことが重要です。

相互関連する項目を踏まえてコスト削減を検討する

下がった売上に対して、少しでも利益を確保したり、損失を小さくしたりするためにはコストダウンが欠かせません。しかしながら、削減できない費用もあり、これらの項目を削減するには、この領域に手を打っておかなければいけないなど、相互関連している項目もたくさんあることでしょう。

 

また、大企業であれば、地域別、機能別に子会社を設立していることも多く、この相互関連が子会社社内で完結できずに、グループ企業横断で検討しなければいけないこともたくさんあると思います。

 

たとえば、製造業において生産子会社は、コスト削減を目的に売れ筋品目に絞り、大量に生産することで製品1個あたりの製造原価を削減しようとするかもしれません。

一方、その生産子会社から仕入れて市場に販売する地域販売子会社は、売れない時期に、どの顧客に対してどの製品をどのように売るかを、顧客動向や競合他社の動きを考慮して、新しい販売計画を検討しているかもしれません。その結果、従来売れ筋だった製品ではなく、廉価版の製品を値引き、キャンペーンをして利益よりも、マーケットシェアの確保をしようとするかもしれません。

 

そうすると何が起こるのでしょうか?

 

生産子会社はコスト削減のつもりで、少量に絞った売れ筋製品を大量に生産し、販売子会社が求める製品は、売れ筋だった製品ではなく、廉価版をこれまでよりも多く要求することが生じます。

 

結果として、売上が下がっている時期に、売りたい製品の在庫が不足して機会損失を生じている一方、地域販売子会社が注力しなくなった従来の売れ筋製品が生産子会社の倉庫に積みあがって、売れない在庫となるというダブルパンチが襲うということになりかねません。

 

生産子会社も販売子会社も、現状を考え業績を改善しようと取り組んだにもかかわらず、傷口をより広げてしますことになる可能性もあるわけです。

コスト削減は、「言うは易く、行うは難し」

日本では費用予算は消化しないと翌年度の予算編成時に削減される恐れがあるから、消化しなければいけないという話をよく耳にします。

 

コスト削減、特に経費削減においては、ミリミリと細かな管理の積み重ねが必要で、経費承認をする管理職のみなさんは、部下から嫌われることを遂行しなければいけません。

予算化された項目は、その支出や購入を前提にして活動していることもあり、年度の途中で予算削減の変更を実施することは、「言うは易く、行うは難し」という言葉がピッタリはまる辛抱を伴う取り組みといえます。

 

こうした現実を踏まえると、社員のみなさんを信用しないわけではありませんが、必要削減額の20%程度上回るコスト削減を目標に織り込み、細かく費用の承認を管理する必要があります。

その上で、トータルで目標達成を実現するためには、社内コミュニケーションを含めた実効策の検討と推進が必要だと思われます。

好況の時は、企業の競争力自体は鍛えることは難しい

業績が好調でどんどん成長している時期には、あまり細かな調整をすることなく、多少のミスマッチや社内の不整合を補って余りある状況かと思われます。そのため、予算や経営計画を策定する際にも、細かな調整に時間をかけるよりも、将来に向けた成長トレンドに焦点をあてて検討することが多いのではないでしょうか。

 

こうした点から、実は好況の時は企業の競争力自体は鍛えることは難しいともいえます。

 

先行きが不透明で、リスクが大きくたくさんある時期の事業計画策定は、精神的にもきついものがありますが、そういう時だからこそ財務経理部門や経営企画部門からなるCFOチームは、市場環境、競合他社、自社の真の実力を見極めるチャンスとも言えます。

 

事実と実行可能な取り組みの組み合わせで、実現可能な目標設定に基づく予算修正や計画変更を行い、社内各部門がその目標達成に向けて取り組むこと自体が、企業体力強化につながり、効率的で筋肉質な企業体質にシフトさせることができるのです。そして来る好景気において、ロケットスタートを切れる準備につながるようベクトルの収斂を図る取り組みをしてはいかがでしょうか。

組織横断で実効性のある管理会計の仕組みを創る

これらを実行するための推奨策は、社内各部門、子会社を含むすべての伝票レベルの情報が本社のCFOチームが見ることを可能にする、ITの仕組みの検討も必要でしょう。

 

一般的には、月次、四半期での合計値で、各部門の業績評価を行ったり、子会社からは連結決算用のレポーティングパッケージと呼ばれる集計後の財務数値を本社経理部に提出していることかと思います。しかし、監査法人の会計監査はそれで問題がなくても、業績改善やコスト削減といった社員・各組織の取り組み自体を把握したり改善したりするためには、組織横断での実効性のある管理会計の仕組みの検討も必要になるかと思われます。

 

このIT推進については、別の機会にご紹介できればと思っております。

 

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