入社時から半年間での出来事

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君なんか辞めさせるのは簡単なんや!と言われた初日

満30歳で、NY上場の年商円換算約8,000億円の企業の日本法人のCFOとして採用されたことがありました。日本国内での日本法人社長、日本担当の役員の面接のあと、米国本社での採用面接が朝から夕方まで、それも、同様に翌月も呼ばれ、合計2回も行われ、また英語での面接だけではなく、日本で監査法人の公認会計士にも業務レベルが通用するかの判断をすると、公認会計士との面接も受け、結果的に採用となりました。当時、日本法人の経営会議メンバーの中では最後発入社・最年少でした。

 

初の経営会議後、私の歓迎会を開いてもらったのですが、私もさすがに、相当気遣い、謙虚にふるまうように心がけていましたが、生意気に見えてしまったのかもしれません。大阪営業所長に、目の前に座っていていきなり「君なんか、辞めさせるのは簡単なんや!おだてておだてて、屋根の上に登らせて、はしごを外したら、一発や!」と。

 

私は、「そうですか、アドバイス、ありがとうございます。気を付けるようにいたします!」と回答したものの、大変な会社に来てしまったかもと強烈な印象を受けました。

財務・経理の業務でなく、業績向上実現に向けて邁進

その後、自分でも30歳の若造であることは事実であり、「私が人格、識見において優秀なのではなく、このポジションの人間が、すべきであろう事を愚直にやるだけ!」と何度も何度も、自分に言い聞かせながら仕事をしていました。

 

営業活動において、戦略的に期間限定の値引きを行い新規顧客の獲得をするとか、キャンペーンを実施する際の短期的に予算超過する費用の使い方等、事前に本社とコミュニケーションをとって、営業部門を応援したり、予算編成時には、ミリミリと締めるだけではなく、より活動しやすいように営業部門の立場に立って提案したり。

 

そんなことを続けていると、いつの間にか、私を辞めさせるのは簡単だと発言した営業所長を含め、本社出張時には、私の部屋に挨拶に来てくれたり、情報共有をしてくださったり、また、みなさんがいつの間にか、私のことを「さん」付けで呼んでくださるようになっていたり。入社して半年後の頃のことでした。

 

内部統制、ガバナンス等、CFOとして、財務経理部門として、風紀委員や警察官のような役割をもしないといけない局面もありますが、一方、事業活動全体の業績向上実現に向けて貢献することは、CFOとしての本来的な役割ですので、そんなことが、試行錯誤しながらですが、出来ていたのかなあと思います。欧米企業のCFOは、営業方針、価格設定、投資計画の中身にまで、普通に口を出します。というか、それをしないほうが、CFOとして怠慢かもしれません。程度の差、重要性の判断はもちろんありますが、もっと日本企業のCFOは事業自体に関与してもいいように感じます。

 

 

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