シナリオテリング

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本日(2014年7月18日)付けの日経新聞のIR新潮流というコラムに興味深い記事があった。

 

各上場企業がホームページに資料閲覧や動画ツールでIR活動をささえるインフラの整備が進んだが、「投資情報を適切に伝える」という基本が全うされているかとなると疑問符がつくと。

 

この記事の中で、トヨタ自動車が公表した利益見通しが市場予想を1割強下回ったが、株価は続伸した。一方、同様に市場予想に届かなかったホンダは株価が急落したとのこと。

 

豊田社長が、「意思をもった踊り場」、「年輪経営」、「将来の種まき」などの中長期の成長に向けたメッセージを決算発表の場で発信したそうです。

 

経営環境の変化が激しく、将来の予測が非常に難しくなっている。

 

 

そこで、シナリオプラニングという手法を用いて、事業戦略や予算編成をする企業も多いことと思う。

 

シナリオプラニングはもともと、予測が難しい戦争状態において、数値的な分析だと伝わりにくいため、言葉でストーリーをもって作戦の理解共有を図ることが発端だといわれている。

 

将来の可能性を網羅すること、実際に想定外の事象が生じてもサプライズを最小化するために用いられる。

 

 

ところが、このように戦略策定時、計画策定時に用いられたシナリオを、実際に経営管理を行う、予実対比分析や各社、各部門の業績管理を通じ、PDCAサイクルを回す過程で、そのシナリオの趣旨が共有されているだろうか?

 

単純に対予算、対前年で数値の増減比較をして、勝った、負けたに終始していないだろうか?

 

 

この蓄積が、社外に情報発信するIRという局面で、本領を発揮すると感じる。普段から考えていないことを、取り繕って話してみても相手の納得を得ることは難しい。

 

 

弊社では、現役CFO、CFO候補の有志が集い、CFO錬成道場を開催している。

 

7月度のテーマは、シナリオをPlanするだけではなく、社内、社外にTellする。 Scenario Telling、Story Tellingをテーマに熱い議論が交わされた。

 

数値だけの分析、説明でお茶を濁しているのではなく、言葉で事業を語れるレベルのFactの把握と対応ができている仕組みが出来上がってしまうと、IRで発信される内容もきっと共感を得られ、納得されるはずである。

 

 

ただ、具体的な発信をすると、次回の説明には、その具体的な施策の結果を問われる。

 

やはり、本質的な経営活動を愚直に進めていくしかない。

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