日本の上場企業との合弁会社

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大事なのは、面子かWin-Winか

グローバル展開している外資系企業は、売れる商品・サービスを持っていても、各地域、各国での市場参入にかける時間とコストを削減する必要があります。そこで、各市場での主要プレーヤーと、共同でプロモーションする際に、合弁会社を設立して共同販促を行うということが、よく行われます。

 

私も、提携先企業である日本国内の上場大手企業と合弁会社設立の交渉、準備、設立、経営管理に携わったことが何度もあります。その際に面白い経験をしたことがあります。

 

提携するからには、外資系企業としては、市場参入したい商品・サービスがありますが、売れる基盤がない。日本企業は自社製品のマーケットシェアがすでに高かったり、その商品・サービスの優良顧客をもっている。まさに、お互いに補完関係が成立して、Win-Winの関係を構築し、相互メリットがあるから提携をするわけです。

しかしながら、日本企業にお勤めの日本人社員の方の中で、このWin-Winが十分に理解されておらず、日本国内だけの事業規模だけで自社が優越的存在だと認識されたり、相互メリットの創出というよりも、自社の経営管理をのやり方を強制するようなスタイルの方が数多くいらっしゃいました。

 

お互いに良いとこ取りをすればいいと思い、いろいろと提案するのですが、20代の若造が言うことを受け入れることは、大企業の課長職以上の方にとっては、面子がつぶれると感じられるのか一切検討すらしていただけないことがありました。

 

会社同士の合意ですから、たとえ若造でも、先方の日本企業の担当役員やCFOとの打ち合わせの機会もあり、その際に、担当レベルの方との打ち合わせでは全く受け入れられなかったことを、双方のメリットを共有する合弁会社の趣旨に照らして提言し、その役員CFOの皆様から、「弊社もぜひ、御社から学ばせていただき、改善の機会にしたい」とのコメントをいただき、あっさり提案を承諾していただくことが度々ありました。

 

当時反対をされた方々が、何を理由に検討をしてくださらなかったのか、その理由は今でもはっきりしません。現行踏襲をすることが正しと思われていたのか、変化をして何か想定外のことが起こるリスクを恐れていたのか、自社が最高だと思っていらっしゃったのか。

 

いずれにせよ小さな改善ができないことには、大きな改革はできると思いません。本質的、戦略的思考を実践する場を与えてくれた環境に感謝し、人の育成にはこのような背伸びをさせるチャレンジが、必須だと感じています。

 

 

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