プロジェクトマネジメント力を身に着けよう
知識偏重型からの脱皮
方法論や過去事例、有名大学教授が提唱する学説は数学の公式みいなものだと思っています。
実務において公式がそのまま適用できる状況は、残念ながら存在しません。各企業固有の企業文化や考え方があり、同業種でもたくさん相違点があります。また同一企業内においても、成長ステージによって対応施策は変わって当然であるということになります。ということは、公式を知っていることは大事ですが、それだけでは十分とはいえません。自社の業績拡大・経営課題解決のためには、その習得した知識を使いこなして、実際に結果としてマネジメントの意思決定に役立つ情報を提供したり、期初に立てた予算の達成にどれだけ貢献できるかについて議論することのほうが、CFOチームとして重要だと思います。
予算の達成度合いについては、単に財務数値の大小比較ではなく、予算数値の前提とした製品ごとの平均販売単価や地域ごとのマーケットシェアなど、非財務数値を考慮する必要があります。その上で予算のベースとなる新規事業展開や主力商品のさらなる販路拡張等、複数シナリオを融合した事業計画に照らして実績がどう推移しているかを把握していきます。シナリオごとやそのシナリオを実現のための取り組みごとの進捗状況を測定できるKPI(重要業績評価指標)を定義して、そのKPIを計画値と実績値を比べていきます。この差異の原因分析をすることで、具体的にどの部署がどのような行動をすべきかがわかるようになります。結果として、事業年度の途中でも、目標変更をせずに実行施策を目標達成に向けて微調整をしながら事業展開をしていくナビゲーターの役割を果たすことができるようになります。
CFOチームに求められるプロジェクトマネジメント力とは
経営管理業務とプロジェクトマネジメントがどう関係するのか疑問にお感じかもしれません。企業が戦後の高度経済成長期のように、業績が右肩上がりで、これまでやってきた通りに前年対比何%アップの予算を編成し、財務数値のみの増減分析を行うだけであれば、ことさらプロジェクトマネジメントなんて面倒な考え方を持ち込む必要はまったくないと思います。
しかしながら、インターネットの早く深い浸透から、市場や競合が大きく変化する中、従来型の現行踏襲スタイルでの業績把握、経営管理で十分でしょうか?好むと好まざるとにかかわらず、予算との差異はどこから生じたのかという原因を、思いつきではなく的確に把握し、適切で効率的な対応策・改善策を検討し全社最適で実施するには、プロジェクトマネジメントの手法を用いるのが最適で、今後必須になると考えています。
例えば、以下のようなステップで考えていただくと、プロジェクトマネジメントの必要性をご理解いただきやすいかもしれません。
- 経営環境の変化が大きく、従来型のルーティンワークからの脱皮が必要となる
- 従来と異なる、初めての作業を進めるには地図や行程表が必要であるため、仮設ベースでのゴール設定をし、そのゴールにたどりつく経路を想定する
- 当初想定していなかった課題や問題に対して、その解決とその状況を管理して、関係者間で共有する
意思決定スキルを向上する
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1事業遂行上の意思決定の選択肢とその各々の選択肢を採用した際のメリットとデメリットを明確化した、マネジメントへの意見具申をするような時。
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2ある問題の解決法が、売上を増大させる、もしくは損失を抑えて利益を確保するが、一方、資金の拠出、もしくは資金調達を必要とするなど、二律背反する選択を、財務視点で決定することを迫られる時
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3市場や顧客、競合企業等の変化などから、これまでにない大きな影響の予実差異が生じた際に、どのように情報を集めて分析をするかを、限られた時間の中で、効率的にチーム全体で進める方針を決定をしないといけないとき。
これらは、一例にすぎませんが、CFOチームは、業績、結果の評論家ではいけないですし、今後はこうなりますよという天気予報士のような第三者的発言でも役割を果たしたことにはなりません。経営の意思を反映した目標をしっかりと見据えて、そこにたどり着くには、どういう選択肢があるかをメリット/デメリットとともに示す、マネジメントの意思決定に参謀役になることが求められるといえます。
また、その選択肢の検討に際しては、その中でも、どれが一番確率が高いのかを下記の観点も考慮しておく必要があります。
- ▶リスク(まだ顕在化していないが、発生すると大きな影響を及ぼす事項)
- ▶コスト(その施策を実行するのに要するコストと得られるベネフィットの比較分析)
- ▶リソース(その施策を実行するのに要する人数/時間と求められるスキルレベルの検討)
これらの検討は事業部門が行うべきと思われるかもしれませんが、企業価値を向上させるという観点から、限られた経営資源を、適切に選択された事業領域に、実効性の高い配分を行い、集中させることが、「選択と集中」を推進する際の肝であり、CFOチームが担っていくべき活動だといえます。
意思決定をスピーディに
実践するためにはITの
有効活用が
欠かせない
それは、企業に勤める実務家と大学教授、公認会計士、アナリストとは、アプローチする方向が、真逆だからなんです。ですから、知識を習得するだけでは、何も変わらず、それを実現する、製造現場の熟練工や、断られることを恐れずに見込み客に商談をする営業マンのような実務的向上が、CFOや経理・財務部門、経営企画部門の担当者にも求められるといえます。
転記や、手作業が多くなればなるほど、作業時間を必要とするだけではなく、ミスの発生確率が高くなります。また、どこで発生したミスかを発見するのに時間を要し、修復までに想定外の時間がかかっているケースも多いのではないでしょうか。
また、予算編成の終盤に、マネジメントからの要請で変更をする必要が生じた場合に、連結ベース、全社ベースの集計後の数値の変更は比較的容易ですが、実際に予実分析をすることを想定すると、その変更が影響する部署、子会社の予算数値を変更しないと、その変更の戦略的意味が、失われてしまうこともあります。
こうした事態を解消するためには各種データはシステムで一元化をすることは必要不可欠といえます。
また、予算編成の終盤に、マネジメントからの要請で変更をする必要が生じた場合に、連結ベース、全社ベースの集計後の数値の変更は比較的容易ですが、実際に予実分析をすることを想定すると、その変更が影響する部署、子会社の予算数値を変更しないと、その変更の戦略的意味が、失われてしまうこともあります。
こうした事態を解消するためには各種データはシステムで一元化をすることは必要不可欠といえます。