社内から評価、信頼されるCFOチームの共通項とは?

高いレベルの知識を習得し、正しく業務や決算書等の資料を作成しているにも関わらず、社内においては高い評価を受けたり、信頼されたりすることが少ない経理・財務部門(CFOチーム)。そこで本コラムでは社内から評価・信頼されるCFOチームの共通項をまとめました。

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社内で高い評価を受けにくい経理・財務部門の仕事

CFOや経理部長、経営企画室長の立場におられる方々は、責任の重大さと、社内外への各種提出資料や報告事項等のアウトプットに求められる正確性等、相当のプレッシャーの中で、日々業務をなさっていると思います。

 

このような状況から、どうしても、正しいこと、間違わないことに意識が働き、社長をはじめマネジメント層が欲しい情報を、欲しい粒度で、欲しいタイミングで提供できていないのではないでしょうか?

 

経理・財務部門は、業務上間違ってはいけないことばかりの業務を担当していますが、高いレベルの知識を習得して、正しく業務や決算書等の資料を作成するだけでは、残念なことになかなか社内でマネジメントや他部門から高い評価を受けたり、信頼されたりすることは難しいのです。

 

なんと理不尽な!と感じられている方も多いと思います。

 

各部署から来る伝票や経費精算など、間違っていることも多く、それを注意してチェックを行い、正しい仕事をしているのに・・・・。

 

そこで、改めて経理・財務部門の仕事の目的を「相手ごと」に整理してみたいと思います。

会計監査において求められていること

監査法人や公認会計士の会計監査を、大企業は受けなければいけませんが、ここでは、会計基準や監査基準を満たした、正しく、適切な会計処理によって、正しい決算書を作成することが求められます。

税務申告において求められていること

作成された決算書をベースにして、税務調整を行い、正しい課税所得を算定して、税務申告、適正納税を行う必要があり、ここでも税務の知識を習得して、正しく業務を行うことが求められます。

 

この2つの観点からは、正しく仕事をすることが求められ、ケアレスミスを少なくする慎重さ、細かなチェックが必要です。

 

一方、マネジメントや営業、製造、研究開発等の他部門からの経理・財務部門へはどのようなことを期待されているのでしょうか?

マネジメント層から期待されていること

中期経営計画や、年度予算として策定した事業計画が、計画通りに業績を達成できるのか、予算編成時の前提や想定と異なってはいないかを、出来るだけ早く、多少の誤差があっても、どういうトレンドで推移しているのかを知りたいと思っているはずです。

それが、月次の締めが終わって、翌月の10日過ぎに出されても、前月の結果は動かせず、たとえ正しい数値であっても、もう少し早くほしい、もしくは、今年度、今月末の精度の高い、着地(未来数値)の予測を提供できると、きっと早く、的確な経営意思決定ができるために、喜ばれることと思います。

他部門から期待されていること

また、営業部門やその他の部門の方々も、予算に基づき、各部署ごとに達成目標をもって業務にあたられていることと思います。

その部門の責任者、管理職の方々にとって、今の状況が目標達成に向けて順調なのか、何かを変えるべきなのかを知りたい、確認したいと思っていると思います。

 

皆さんは、営業部門であれば売上目標に対して、どれだけ売上実績があがっているかは知っていると思われているかもしれません。しかし、実際は営業部門は売上数値の予算と実績はわかっていても、その結果の粗利が、部門/営業所ごとや、製品ごと、顧客ごと、営業マンごとにわかるかというと、答えはNoです。
売上原価の情報は経理部門しかわからないはずです。

 

多額の売上をいただける上得意の顧客であっても、ボリュームディスカウントと呼ばれる、大口値引きをしていて、売上の割に粗利が低いということが往々にしてみられ、販売費、一般管理費を引くと、赤字になっているかもしれません。

そうすると減収増益の施策を打ったほうが、利益があがるということも起こりえます。このような情報は経理・財務部門からしか提供できないのです。

大事なことは、マネジメント層や他部門との「のりしろ」を作ること

このように、経理財務部門から提供する情報が、マネジメントの状況把握、意思決定の迅速化、適切化につながり、他部門の事業展開に貢献することができると、社内での経理財務部門の評価が高まり、信頼されるようになると思います。

 

では、どうすれば、社内で高い評価をもらえる情報発信ができるようになるかについてですが、一言で表現すると、マネジメント、他部門との「のりしろ」を作ることです。

 

大事なことは、マネジメント層や他部門との「のりしろ」を作ること

 

この「のりしろ」を作るキーポイントは、下記の2つです。

 

  1. 双方向のコミュニケーションの頻度、回数を増やすこと。
  2. 予算等の計画を財務数値だけではなく、言葉で表せるシナリオに基づき作成すること。
  • 1.双方向のコミュニケーションの頻度、回数を増やすこと

まず1点目のコミュニケーションですが、マネジメントが、他部門が何に困っていて、どんな情報を提供すると助かるのかを、正確に理解することが重要です。

なかなか、これが、わかっているつもりでも、実際によく聞いてみると、微妙に違っていて、同床異夢のような状態のことがよく見受けられます。

 

また、1回だけの点での情報共有ではなく、繰り返し行うことで、点が線になり、線が網目になり、面になるような理解度の深まりが、コミュニケーションを増やすことで生まれてきます。

  • 2.予算等の計画を財務数値だけではなく、言葉で表せるシナリオに基づき作成すること。

2番目の言葉で表現するシナリオベースでの計画策定については、別の投稿にて、ご紹介させていただければと思います。

 

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